雇用助成金の具体例B

チャレンジ3号業務(その3)


昭和34年生まれ。昭和57年明治大学
経営学部卒業。同年大和証券鰍ノ入
社。中小企業開拓を中心とするセール
スマンとして第一歩を踏み出す。以来,
外資系証券及ぴ生損保の営業を経験。
現在,顧問先の営業支援を助成金活用
によって新規開拓に結びつけるという
独自の領域で活躍中。
もうかるぞ社労士−実戦・春夏秋冬

助成金活用研究会会長
社会保険労務士

竹内 陸
本試験直前期の読者の皆様へ
社会保険労務士業界と資格への間違った定説

うかるぞ社党士SRゼミNO.3の読者である皆さんは、現在、本試験を前に最後の追い
込みをかけている時期だと思います。是非、この合格への天王山である70日間を、悔い
のない戦いをされることを祈念しております。
私自身のこの時期を振り返ってみますと、前年の試験結果から背水の陣で臨みながら、
5月の模擬試験の結果に傍然とし、絶望の中で開き直り、とにかく本試験まで死に物狂い
でやるしかないと、信頼する過去問題集と予想問題集(択一・記述)の3部作を、本試験前
日まで繰り返しました。
皆さんも、独白の方法で準備されていることと思いますが、ご自分の選択を信じ、目的
を達成して下さい。
さて、合格の後、開業していく際に、いくつかの本で書かれていた開業時の〔間違っている
と私が思う〕定説があります。

定説@手続業務の実務経験がないとダメ。
定説Aこの資格だけでは生溝できない。
定説B社労士事務所で研修した方がよい。
定説C行政協力の場を利用する。
定説D基本は、飛び込みだ。


まだ他にもありますが、これらの定説を実感したことは、私は、開業以来ありません。
社会保険労務士業界は、切り取り自由の無競争なマーケットで、私が経験した証券業界と
比べれば、新規の参入にチャンスが転がっています。拡大する市場に夢は広がります。
このプラチナ・チケットである社会保険労務士証票を、今年必ずゲットして下さい。

実戦・春夏秋冬
顧問契約までの道程

東京都新宿区に本社を置く、徳川設備工業株式会社(仮称)は、資本金7,000万円、社員数
90名(うち契約社員及びパートタイマー60 名)、売上30億円の典型的な中小企業です。
前職のお客様の紹介で、昨年2月に初訪しました。
その折に、顧問の社会保険労務士がいることや、労働保険事務組合に委託済みで特別加
入もしていること等の話がありました。
つまり、顧問契約の意思がないという意思表示?を最初に受けたわけです。
内心〔よし、見込み客だ〕と思いました。それはなぜか?
まだ多くの会社には、顧問社会保険労務士はいません。月2万円から5万円の顧問料を支
払う会社は、多数派ではないのです。
コンペティターがいる会社は、外部スタッフに報酬を支払う会社です。
つまり、。号業務(助成金のコンサルティング)で、納得をすればビジネスが成り立つ会社で
す。ここに助成金を一度も提案しない同業者が1帆自身を売り込む最大の瞬間です。
しかし、同業者を絶対に誹謗中傷してはいけません。助成金活用のお客様のメリットを、真
正面から分かりやすく説明するだけでOK です。
このアプローチを続けていけば、必ずや経営者は、報酬を二重払いする状態を熟考する
はずです。
やはり3号業務で対象にする会社は、それなりの規模と余裕のある会社であり、もっといえ
ば、ひと月の経費の支払いが1,000万円を超える企業でないと難しいと思います。
私は、知恵や経験を、お客様のパフォーマンスをあげることに貢献できて、初めて報酬を
いただけると思っています。
逆に、サービスに対して適正な報酬を支払う意思のない経営者は、お客様リストから削除
します。選び選ばれ、互いに満足できる関係が最高です。
この意味で、この会社は私の見込みのお客様リストに載せました。


助成金コンサルティング−基本はインタビュー
何を聞き、どう生かすか?

インタビューを続けていくうちに、次のビジネスの種が浮き彫りとなりました。


(1) 労働時間は44時間で、2週平均の変形で対応している。
(2) 建設業で現場へ入るため、健康診断と仕事上の資格取得に
毎年経費がかかる。
(3) 設計もCADの導入が進み、社内LAN等の整備や2000年対策
でOA化投資が必要である。
(4) 労災事故に対するリスクヘッジとして、損害保険に加入してい
るが保険料が負担である。
また、加入状況が社保に未加入の社員に不利になっている。
(5) 退職金準備は中退金に加入しているが、想定債務の額と比
べると不足がある。

これらのインタビュー結果を踏まえて、まず、@から次の提案をしました。
『平成9年4月1目より週40時間制の完全実施ですから、就業規則の労働時間を変更して、
届け出る必要があります。これは助成金も絡むので、是非やって下さい。それから、省力
化投資の予定があれば、今なら時短奨励金で200万円の奨励金が支給されますので、
前倒しでやったらどうですか?まあ、4月以降でも労働時間制度改善助成金に継続される
ので、届出は必ずやりましょう。』結果は、担当者(顧問社労士ではありません!?)が3月内
に所轄に届け出ました。

実戦・春夏秋冬【夏の巻】
健保組合への編入と生涯能力開発給付金

Bの情報化投資対策として、まず、資金の問題は、担当部長と中小企業金融公庫へ同
行したり、東京都の情報化助成事業への応募(最高金額2,000万円を目指しましたが、
残念ながら審査が通らずに断念。でも、今年も挑戦する予定。)等の行動をしても、なか
なか結果が出ず、得喪手続だけで報酬を受ける顧問がうらやましく思いました。
しかし、新規にその企業と取引する以上、まずパフォーマンスをあげなければ、おいそれ
と発注を受けることはできません。
そんな時に、Aの問題解決の相談を受け、健保組合への編入と生涯能力開発給付金の
申請を提案し、受託しました。
まず、健保組合への編入ですが、保険料は政管健保と変わりませんが、傷病手当金が
3 ヵ月プラスされたり、出産育児一時金が6万円プラス(ただし被保険者のみ)、ほかにも
付加給付が多数ありましたが、最大のメリットは、被保険者に関しては、健康診断が無料
になったことです。これにより、年間の経費削減が可能となりました。
また、直営保養所の利用等の福利厚生の分野でも、資金をかけずに充実を図ることがで
き、社員にも会社にも良い結果となりました。
資格取得に要する費用については、生涯能力開発給付金を全面的に活用することになり、
6月末に計画届を提出しました。
前年に約100万円の研修費用がかかっていましたので、その3分の1と日当分、それに導
入奨励金30万円を加え、75万円程度の助成金の受給予定と想定しました。
健保組合への編入の件も、9月末に東京都から許可が下り、11月1日に編入の運びとなり
ました。
そのほか8月には、3月末に所轄に届け出ていた就業規則の変更届の効用で、労働時間
制度改善助成金の申請となり(時間短縮の維持のため車両の購入40万円の受給)、引渡
日の翌日から1ヵ月以内の申請にギリギリで間に合いました。
夏前に検討していたCの損害保険料の削減プランの相談においては、正社員の補償内容
が社保未加入の契約社員及びパートタイマーより高く設定されており、国の保険(労働・社
会保険)の保険料負担と民間保険の保険料負担のバランスと給付内容からみて、適正な
担保内容となっていない点を指摘し(つまり健保や厚年の給付がある正社員と全くない他
の社員がいるにもかかわらず、普通傷害保険を24時間担保で、天災時の特約まで付けた
内容の保険加入をさせられていました。)、次のようなプランに変更しました。


(1) 会社で災害補償するのは、就業中及び通勤時に限定する。
(2) 普通傷害保険の補償額は、死亡補償のみに限定する。
(3) 前項の減額に代え、東商の労災上乗せ共済に加入し、
休業補償・障害補償・死亡補償の充実を図る。
*この会社は東商の会員企業なので、この労災上乗せ保険に通常の
50%引きで加入できる特典を最大に生かしました。
(やっと会費の元を取れたとのこと)

(1)から(3)により補償内容を充実し、かつ、保険料は3分の1に減少しました。
年間で300 万円近い減少額となりました。
これには続きがあって、後にパートタイム助成金の申請をしましたので、そこでの保険料
の助成と計画作成経費の合計30万円近くを今年度受給できることとなりました。
(平成10 年度及び11年度も保険料の助成は継続しますので、あと約50万円は受給でき
ることになります)この夏も、『あっ』という間に終わった感じでした。

実戦・春夏秋冬【秋の巻】
介護休業制度と財形貯蓄活用助成金の設計

助成金又は経費節減の提案及び福利厚生制度の根本からの見直しの提案を続けるこ
と。そして、問題点がでれば解決策を一緒に考えること。
このプロセスは、3号業務で一番大切ではないかと私は思っています。
この頃になると、当方の提案は、即受け入れられるようになってきました。
そこで、就業規則の全面改訂に着手するために、介護休業制度と財形貯蓄活用助成金
の設計を提案し、委託を受けました。
この両制度は前回取り上げましたが、導入企業に負担がかからないので、納得を得やす
い制度です。この時期は、今までの仕上げの時に当たり、新しい提案はこの程度でした。
次に、平成9年度の他の助成金プランナーの方達の目玉である申請に取り掛かることに
なりました。


実戦・春夏秋冬【冬の巻】
継続雇用制度奨励金と受講環境整備奨励金

平成9年度に一番脚光を浴びていた助成金は、この継続雇用制度奨励金でしょう。
この制度は、希望者全員を65歳以上の年齢まで雇用する制度を導入した企業が、表2
の金額を受給できる制度です。
ただし、表1の受給要件を満たすためには、就業規則の整備及び届出という大きな壁
(もちろん、ちゃんと労働基準法の改正を追いかけていて、一歩下がって、届出をしてい
る企業にとっては、形式要件が整えば必ず支給されます。)があります。


表1 継続雇用制度奨励金の受給要件

(1) 雇用保険の適用事業主であること。
(2) 平成8年4目1日以後に、労働協約又は就業規則により希望者全員を
65歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度(定年目引上げ勤務延
長、再雇用、在籍出向)を導入したこと(65歳以上の年齢まで雇用す
る継続雇用制度を導入し、かつ、継続雇用制度導入奨励金を受給
した事業主を除く)。
(3) 継続雇用制度を導入前に、労働協約又は就業規則により60歳以上
の定年等を定めていること(ただし、平成9年度中に継続雇用制度を
導入した場合は、継続雇用制度を導入前の定年等が60歳未満でも
申請できる)。
(4) 継続雇用制度を導入した日に、1年以上継続して雇用されている55
歳以上65歳未満の常用被保険者が1人以上いること。

支給金額は、企業規模及び継続雇用期問に応じて、表2の額(最大5年間)となります。

表2 支給金額

1年 2年 3年 4年 5年
10〜29人 100×1回 100×2回 100×3回 100×4回 100×5回
30〜99人 150×1回 150×2回 150×3回 150×4回 150×5回
100〜299人 200×1回 200×2回 200×3回 200×4回 200×5回
300〜 250×1回 250×2回 250×3回 250×4回 250×5回

台帳を確認したところ、2人の高齢者を見つけました。
何度聞いても、高齢者はいないとのことだったので、この助成金は対象外と思い込ん
でいましたが、やはり最初に台帳で確認しなければ、と反省しました。
金額も150 万円とちょっとした金額ですので、会社からは喜ばれました。
4月から月額8万円で新規にOA機器のリースが始まるので、その一部に活用できます。


ニューフェース登場−受講環境整備奨励金
企業規模及び業種を問わない秘密兵器
平成10年度、私のお客様の開拓メニューに力強い奨励金が登場しました。
この原稿を執筆している現在、申請の計画書を書いていまして、認定を受けたわけで
はありませんが、自己啓発の取組みを推進する事業主に、次のような支援策が行わ
れます。この奨励金が、実戦・春夏秋冬のフィナーレになると思います。
受講環境整備奨励金とは、表3のような自己啓発の環境整備を目的とした援助です。

表3
(1) 社内向けのガイドブック・情報誌の作成
(2) 産業カウンセラー等を招いての相談等の実施
(3) パソコン、ビデオ等の教材の整備
(4) 書籍・雑誌等の購入
(5) 自己啓発コーナーの設置及び机、椅子等の備品整備
(6) 職業に必要な各種資格試験の実施
(7) 職業能力評価のための社内検定等の実施
(8) 講演会の開催

支給要件は、上記整備を行い、かつ、労働協約又は就業規則により、時差出勤制度
導入等の労働時間面での配慮を実施した事業主であること。また、支給対象期問は
受給資格の認定後1年間となっています。
支給金額は、表4となっています。

表4 受講環境整備奨励金の支給額

経費 支給額
300万円以上 100万円
100万円以上300万円未満 50万円
【中小企業】160万円以上100万円未満 40万円

この会社では、設備設計のためにCADを使うことができる社員を養成するため、社
内の一角に自己啓発コーナーを設置し、パソコンとディスプレイとCADソフト一式の
購入整備及び書籍等の購入を計画申請し、経費として110万円を予定しています
ので、奨励金の支給額は50万円となります。
この申請で、平成9年度は打ち止めと思います。

新規参入は、業務分野の切り捨てが必須
経験のある得意分野だけで勝負!

この1年間だけで、助成金を切り口にして 3号業務を提案してきましたが、その報酬
は、ほぼこの会社の顧問社会保険労務士さんの顧問報酬と同額となりました。
報酬が同額なら、皆さんはどの道を目指しますか?
また、逆の視点で、お客様がこの不況下に、社労士を1人に絞る時、どう選択する
でしょうか?
一つ言えることは、私が手続業務中心ならこの会社ではお呼びでなかったでしょう。
つまり、チャンスは無かったことになります。
チャンスをゲットするために、私は、経験のある得意分野だけで勝負しています。
マーケティングの研究が、3号業務への最短の道であると思います。
平成10年度、私は、この会社から顧問契約をいただいているかどうか、皆さんはど
う思われますか!?


助成金の問合せ先
*(財)高年齢雇用開発協会本部
*東京都職業能力開発部
*(財)東京都中小企業振興公社
*助成金活用研究会
03(5800)5740
03(5321)1111

03(3251)7895
03(5907)3712

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